■拝啓
■皆さん、ご無沙汰しております。
■「3月20日に更新します」、と書きつつも、長らく更新できずにすみませんでした。すみませんでした。
■この間、ロシアの2つの地方を訪れましたが、外資やモスクワから流出する資金で盛り上がっており、その勢いを実感してきました。
■特に、石油の街・スルグトにはビックリです。人口20万強の都市ですが、皆さんご存知のように石油大手「スルグトネフチガス」があるこの街は、現地の方によると人口の50%が「ネフチャーニキ」(石油業界関係者)だそうです。
■ウラル山脈を西に越えたチュメニ州にあるこの都市は、現在石油で盛り上がり、街はホテル・オフィスビルなどの建設ラッシュで、モスクワでみるようなハイパーマーケットもたくさんありました。しかも物価はモスクワより高い
■ネフチャーニキにとっては全然痛くもないでしょうが、一般人はたいへんのようで、「モスクワよりも給料が少ないのに、物価は高いですから大変です」、と運転手はこぼしていました。
■しかし驚いたのは、そのネフチャーニキのドンと言っても過言ではない「スルグトネフチガス」のバグダーノフ社長さんの話し。この方は基本的にはモスクワ在住ですが、スルグトでは会社の裏にある質素な5階建てアパートに住んでいるそうです。
■ソ連崩壊時に、利権を求めてモスクワから流れ込んでくる官僚達をシャットアウトするために都市を閉鎖し、従業員の株を安値で買い占めて、社長の座に君臨し、会社をここまでデカクした人です。
■そんな方が普通の5階建て2部屋のアパートに住み、しかも出勤は徒歩だとか(※これはロシアでは通常、有得ない話しです)。曰く、「徒歩で出勤する方が安全」、だとか。もちろん色んな筋と良好な関係を築いているからでしょうが、それにしても、大した人物です。はい。
■一般の方々は、ソ連っぽさが残っているのはご愛嬌ですが、日本人を見るのが初めて、という方が非常に多く、我々が滞在したホテルのレストランには、小さな日ロの国旗を設置してくれ、また無理難題を快く聞いてくれて、とても手厚い歓迎を受けました(しかもその料理は、ロシア料理通のM氏もうなるほど美味。最高でした)。
■この街には中国市場がありますが、中国人は未だに出稼ぎ者が多く、安価な品物を高く売って利ざやを稼いでいるそうで、イメージは決して良くなく、差別視されてました。
■一方では、同じアジア人でも、日本人に対してはとても敬意を持って接してくれる。ありがたいことですよね。他にも色んなことがありましたが、長くなりますのでここでは割愛します。盛り上がる地方都市、是非、この勢いを保って欲しいものです。
■ところで皆さん、久しぶりのアップなのに、申し訳ありませんが、現在スケジュール的に非常にドタバタしています。そのため次回は15日の週にアップする予定です。ここ長らく火〜土の帯で掲載できておらず、申し訳なくおもっております。これに懲りず、また戻ってきましたら、是非応援してくださいネ。
■さて、久しぶりのMICEXですが、金曜日のインデックスは前日比0.52%の1,727.37でした。売買代金は少なめの約388億Rblで、113社が、108社がでした。
■上げ組代表:(終値 / 前日比/売買代金)
「ズベルバンク」・・・9万7,050Rbl / 2.29% / 約61億Rbl
「タトネフチ」・・・124.78Rbl / 2.28% / 約11億Rbl
「ノル・ニッケル」・・・5,141Rbl / 0.41% / 約35億Rbl
「ガス・ネフチ」・・・105.3Rbl / 0.31% / 約7,790万Rbl
「ロステルAO」・・・224.05Rbl / 0.25% / 約2億Rbl
「UES」・・・36.56Rbl / 0.16% / 約91億Rbl
「ルコイル」・・・2,183Rbl / 0.14% / 約15億Rbl
「スルグト」・・・31.25Rbl / 0.03% / 約4億Rbl
■下げ組代表:
「AvtoVAZ-3」・・・2,610Rbl / 1.88% / 約1,241万Rbl
「ガスプロム」・・・267.89Rbl / 0.86% / 約47億Rbl
「アエロフロート」・・・75.39Rbl / 0.46% / 約911万Rbl
「ロスネフチ」・・・215.45Rbl / 0.24% / 約3億Rbl
■先週金曜日は、米国・欧州市場が休みだったことから売買額も平均の30%と少なめだったようです。
■またこの両地域がお休みだったことで、原油売買も大人しかったことが、静けさに拍車をかけたようです。そんな中、銀行部門は良い結果を残しましたが、これはロシア最大手銀行の1つ「対外貿易銀行」のIPOに関するニュースが飛び交ったおかげだろう、とアナリストはみています。
■同行は、来週より各投資家の株式買付け申請の受付を開始すると公式に発表しています。
■金曜日に米国の労働市場の統計が発表されましたが、投資家の期待を大きく上回る結果が出ていますので、少なくとも月曜日は、ロシア市場もプラスに転じるのではないでしょうか。
■この期間にインデックスは1,700台にまで回復しており嬉しいところですが、各株の株価自体はさほど伸びていません。引き続き、この辺に注目して市場を追っていきましょう。
■さて、今日は合併・吸収のお話です。
■英国紙「Financial Times」が、「Ernst & Young」社のデータを引用して伝えた記事をお届けします。
■ロシアとCIS諸国における合併・吸収の数は2006年、41%増加し、その規模は710億ドルに達したとか。それではさっそく記事へLet`s Go
同紙は、石油・ガス部門で行われた取引価格を超えた金属・鉱業業界における取引が最も規模が大きかったと記載している。また金融サービス、マスコミ、小売にも積極的な動きが見られた。
合併・吸収の積極化の傾向は、ロシアでここ7年間に渡って平均で6.6%成長している経済成長に連結している、と同紙は強調している。
外国企業によりロシアで実施された吸収・合併の数は2006年にほぼ倍増し、137億ドルに達した。その中でも大規模だったのは、中国の石油企業「Sinopes」と「ロスネフチ」の「Udmurtnefti」社(ウドムルトネフチ)の共同購入だった。
また、昨年ロシア企業が海外で実施した買収は、114億ドルと評価される。海外市場で最も積極性を見せたのは、アルミグループ「RUSAL」、製綱会社「Evraz」、そして「ノリリスク・ニッケル」だった。
ロシア企業も参加した2006年の最も大きな取引は、「RUSAL」社と「SUAL」、スイス企業「Glencore」の事業統合で、アルミニウム・アルミナ製造で世界で最大手となった統合会社「Russiyskiy alyuminiy」である。
■いやぁ〜グローバル化の波にもまれ、ロシアでも統合が進んでいるようです。
■記事中に出てくる「RUSAL」社は、ホールディングカンパニー「RUSAL Limited」の傘下に入っています。このホールディングは、主にアルミナ・アルミニウム・包装材を扱う会社が傘下にありますますが、「RUSAL」社はそのアルミニウム部門です。
■同ホールディングのオーナーは、今年の「Finans」誌のビリオネアランキングで、あのアブラモービッチを抜いて堂々の1位に輝いたデリパスカ氏です(資産は5,635億Rbl)。
■この「RUSAL」社は、2006年だけでも、イタリヤのアルミナ製造工場「EurAllumina」の56.2%の株式、ガイアナの「Aroaima Mining Company」の議決株、ナイジェリアの「Aluminium Smelter Company of Nigeria (ALSCON)」社の株式77.5%を購入し、また中国北東部のカソード工場を買収しています(同社HPより)。
■「ガスプロム」も凄いですが、この会社1社を観ても大したものですね〜。マクロでみると、ロシア経済が成長し、これからますますロシアが世界に進出していくという構図が目に浮かんできます。
■しかし実は、こういう動きがみられることが、昨年秋からこのブログでもお届けしてますように、欧米のロシアバッシングの根底にあります(グリーンスパン元FRB議長が昨秋、資源部門の統合化に関しロシア政府を批判するなど)。欧米、特に米国は自国経済を盛り上げるためには、パワーと情報戦でもって後進国市場を席巻していかなければなりません。
■しかし、ロシアという国の本質は、米国と同じ。つまり大国主義ですから、経済という建前で、政治を進める(あるいはその逆)米国の戦略とガチンコになってしまうわけです。
■普通の国は怖くて米国とガチンコ勝負なんてできないところですが、堂々とガチンコ勝負するところが、ロシアの恐ろしいところです。はい。
■WTO加盟問題でも、未だに金融・保険・農業の開放を要求する米国に対し、ロシアは抵抗していますが、このこともロシアバッシングの要因の1つです。
■しかし最近の欧米マスコミの論調は、一転して「盛り上がるロシア経済」、「これからはロシア投資」になってきつつあります。何度も言いますが、こういった背景からは、何となくノリ・ツッコミ(のせて落とす)のような気がするんですが・・・。
■それでは皆さん、15日の週にお会いしましょう
■ではでは